『ハトを知らない人々』

ハトを知らない人々と、ハトのちびと、旅人との出会いと旅立ちの物語です。

「飛んだ!」

それでハトはもう一度意を決して旅人の肩に乗りました。そして思い切ってジャンプしました。けれどもうまくできませんでした。町の人たちは落ちるハトを見てくすくすと笑いました。食堂の仲間たちは心配そうに眺めていました。旅人だけがハトを力強く励ましました。

「心配するな。君は必ず飛べる」

 ハトはもう一度旅人の肩にのりました。

 

 するとびゅーーっと大きな風が吹きました。町の人々も、食堂の仲間たちも、みんな風に倒されてしまいました。旅人もしりもちをついて倒れました。ところが、ハトは・・・

 

 ハトは飛んでいました。

 

 風と共に

 パタパタと

 飛んでいました。 

 

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町の人たちはみんなおどろいて見上げました。食堂の仲間たちも飛んでいるハトを見て驚いていました。旅人はひとり「飛んだ!飛んだ!」とで大騒ぎして豪快に笑いました。

ハトは喜びで涙を流しました。

「みなさんありがとう。旅人さんありがとう。私は鳥です。ハトです。ようやく分かりました。本当に感謝します」

 ハトは嬉しそうに宙を旋回するとそのまま風と共に去っていきました。知らない人々は、知った衝撃が大きすぎてしばらく立ち上がれませんでした。

 

 旅人はそんな一人一人を見て、ぎゅっと抱きしめてあげたいなと思いました。