『ハトを知らない人々』

ハトを知らない人々と、ハトのちびと、旅人との出会いと旅立ちの物語です。

「ハトを救おう!」

 食堂の仲間たちは子供たちの知らせを聞いてまたも旅人のことで論じ合っていました。

「旅人はどんなやつだった?」

「うーんと、ふつうの人だったよ!」

「おばけじゃなくって?」

「おばけだと思う!でもふつうだったよ!」

 おばさんの息子は子供たちにしつこく問いただしていました。ハトのことがとても心配だったからです。

「それであの男、ちびに『君はハトだから、あの大空を飛ぶことができる』って言ってたよ」子供の言葉に思わず息子は声を荒げました。

 

「ペテン師だ!大空を飛べるわけがないじゃないか!俺たちだって飛べんのに」

「ちびはあいつのもとにいるのか?」

 勉強家も気になって尋ねました。

「うん。ちび旅人についていったよ」

「ちびがかわいそうだ。飛べるはずもないのに・・・。騙されているんだね。なんとか救い出す方法はないのだろうか・・・」

 おばあさんがため息をつくと、仲間たちもハトのことが気の毒に思ってため息をつきました。けれども大切な友人をあきらめるわけにもいきませんでした。

 

「よし、俺たちでちびを救いにいこう!あいつが嘘つきだということを暴いてやろう!」

 その一言に皆も賛同しました。

「そうね。ちびのためにも、私たちがやらなくちゃ」

 そう言ってから、食堂の仲間たちはそれぞれの手のひらを中心に集め、掛け声で気合をいれました。彼らは鋼鉄の岩のように、固く契りを交わしました。

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